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デジタル時計とは【解説】 [テクノロジー]

デジタルとは
そもそも「デジタル」というのは「状態を示す量を数値化して処理(取得、蓄積、加工、伝送など)を行う方式のこと」(wikiペディアより)です。
ちょっとわかりづらいと思うので噛み砕いてお話しをしたいと思います。
時間を細かくしていくと1時間、1分、1秒、0.1秒、0.00001秒・・・。といくらでも細かくすることができます。
でも、誰かに「いま何時?」と聞かれて「8時32分56.247秒だよ」と答える人はいません。普通は「8時33分」とか「8時30分」と答えるでしょう。
このように近い値に変換して(量子化して)、時間をあらわす時計のことをデジタル時計と言います。
思い浮かべる時計によって、どのレベルで量子化するか変わってきます。
G-SHOCKのような腕時計を思い浮かべた人は秒単位で量子化している時計を思い浮かべたことになります。
右のような時計は分単位で量子化していることになります。
また、1秒おきに秒針が動く時計も秒単位で量子化しているので、広い意味でのデジタル時計になります。
しかし、普通デジタル時計というとG-SHOCKのような「液晶デジタル腕時計」を指しますので、今後は「液晶デジタル腕時計」のお話をしようと思います。

液晶デジタル腕時計を分解してみよう
左側は表側から見た液晶デジタル時計の様子です。右側は裏ブタを取った状態です。

自動巻き時計の仕組みでもお話しましたが、機械式時計の基本的な要素は以下の4つです。
(1)調速機:振り子を使い、規則正しく振動する部分
(2)脱進機:振動数を数え、振り子の振動を維持する部分
(3)輪列:脱進機の数えた振動数を計算し、針で文字盤に表わす部分
(4)動力:振り子の振動に必要なエネルギーをゼンマイで供給する部分

上記の要素は液晶デジタル時計でも同じです。
液晶デジタル時計において調速機に相当するところが「水晶振動子」、 脱進機に相当するところが「電子回路」、輪列が「液晶」、 動力が「電池」です。
次からはそれぞれの部品について説明していきたいと思います。

水晶振動子
水晶(クォーツ)は交流電圧をかけると正確な周期で振動する性質を持っています。 そこで調速機として水晶を使用しています。
電池で動く時計のほとんどがクォーツ時計です。

一般的にクォーツ時計の水晶振動子は1秒間に32768回振動します。 (1秒間に32768回振動することを32768Hzと表現します)。 しかし、どんな水晶も32768Hzの振動をするわけではありません。 そのカットや形によって振動の仕方が違います。 天然水晶は不純物が含まれ品質にもばらつきがあるため、 クオーツ腕時計に使用する水晶振動子には人工水晶を用い、 正確に32768Hzの振動を起こすようカットしています。

ただし、温度等の影響により振動数が増えたり、減ったりします。 そのため、クォーツ時計でも時刻がずれてしまうことがあります。

右の写真は分解した時計に入っていた水晶振動子です。 部品に振動数である「32.768」と印字されているのがわかると思います。

水晶が振動する仕組み
水晶などの結晶には圧力(押す)を加えると一方の表面に(+)電気を、 もう一方の面には(-)電気を発生する性質があります。 張力(引っ張る)をくわえた時には発生する電気のプラスとマイナスの面が 逆になります(これを圧電効果といいます)。

押したとき

引っ張ったとき

同じように、曲げた時には曲がる方向によってプラスの電気とマイナスの 電気の発生する面が逆になります。 さらにその逆の現象、つまり、 水晶片の両面に電気を加えると伸びたり縮んだりの変形を起こします (逆圧電効果といいます)。
例えば水晶片の両面にプラスとマイナスの電気を交互に加えれば、 その向きによって伸びと縮みの変形が交互に起こることになります。 これが水晶振動子の振動です。
スイス時計協会FHホームページから引用

電子回路
電子回路は「発振回路」「分周回路」「表示回路」の3つの部分に分かれています。
(1)発振回路-水晶に電圧をかけて、水晶を振動させる。
(2)分周回路-水晶の振動から1秒を割り出す。
(3)表示回路-液晶に電気を流し、時刻を表示させる。

(1)発振回路
持続した交流を作る電気回路です。
水晶振動子に接続することで、水晶から32768Hzの振動数を得ることができます。

(2)分周回路
フリップ・フロップ回路で構成され、希望の周波数を作り出す電気回路です。
水晶振動子の周波数を半分ずつに落とす操作を15回繰り返すことで1Hzの電気信号を得ることができます。

(3)表示回路
分周回路から得た電気信号を元に、時刻を表示する電気回路です。
現在時刻を記憶しておき、分周回路から電気信号を受け取ったら時刻を1秒進め、 液晶に対して電圧を変化させます。

液晶

「液晶」とは固体(結晶)と液体の中間状態の名称の一つです。 液体でありながら、固体(結晶)と同じように規則正しい分子配列を持った物質で、液体の流動性と結晶の規則性を併せ持つ物質です。
液晶パネルは2枚のガラスで「液晶」を挟んでいます。液晶に電圧を加えると液晶分子の向き(配向)が変化します。この配向変化を利用して光のシャッターを実現し、バックライトからの光をさえぎったり透過させたりすることによって表示をしています。時計の液晶は、あらかじめ「絵」の形に電極を配置し、液晶に電圧を加えることで実現しています。
時計の液晶ディスプレイのように電圧を加える単位(セグメント)を小さい領域に分割し、その領域毎に外部から所望の電圧を加えるものをセグメント表示と呼んでいます。どのセグメントに電圧をかけるかを適宜制御すれば、数字の0~9を表示し分けることができます。
液晶デジタル時計と7セグメントディスプレイ(7つの領域に分かれている液晶ディスプレイのこと)は非常に相性がよく、 効率的に時刻を表示することができます。
右の画像は大島篤氏のコラムから引用させていただきました。大島氏のコラムも是非読んでください。面白いです。

電池
液晶デジタル時計ではボタン型電池といわれる電池を使用しています。
小さいのですが、安定した放電電圧や耐漏液性に優れるなどの特徴があり、 少ない電気を長時間使用する用途に適しています。 必要とする電圧、電池寿命、時計の形状などを考慮して様々な形の電池が用いられています。
使い切った後の電池は液漏れの可能性が高く、時計を壊してしまう可能性がありますので、 電池切れのまま放置しないでください。 使わない場合は、電池だけでもはずしておいてください。特に海外の電池は液漏れしやすいです。 外国製の時計には海外の電池が使われているケースが多いですので、気をつけてください。

電池の代わりに、ソーラーパネルやAGS(自動発電クォーツ)を使う時計もありますが、 必ず蓄電池(キャパシタ)を備えていますから、蓄電池の寿命がくれば、 その蓄電池を交換しなければなりません。


参考文献:
・スイス時計協会FH http://www.fhs.jp/Mechanism/quartz/Page1.htm
・時計職人 http://homepage3.nifty.com/watchmaker/q-sikumi.htm
・大島篤氏のコラム http://review.japan.zdnet.com/column/10340140.html
・Wikiペディア http://ja.wikipedia.org/


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コメント 6

igaya

つい先日
なんとはなしに水晶振動子について思いをはせていたのでネタがかぶってびっくりました

っちゅーか いきなりどーしたよメカニカルな感じで
by igaya (2007-06-30 23:39) 

さとー

実家宛てに小学生の女の子から
「デジタル時計の仕組みを教えてください」という手紙が来たらしく、その回答を作ったのでwebに載せてみました。
どう、わかりました?
by さとー (2007-07-01 00:16) 

igaya

ほうほう面白いきっかけだねー

うん
デジタル時計の仕組みもわかったし
どうしてそういうネタになったのかもわかった(笑)

ただ小学生には通訳しないと
このままじゃ難しいね
by igaya (2007-07-03 06:28) 

けがわ

久しぶりです。
面白そうな記事です。あとでじっくり読みますねー
by けがわ (2007-07-04 02:36) 

fkitchen

100円ショップの同じデジタル時計を10個近くで動かすと時間がずれるのですが、なぜでしょうか?
by fkitchen (2011-06-14 16:53) 

みさと

めっちゃありがたいです!!!

夏休みの技術の宿題で電化製品を調べないといけなかったんで
とても助かりました。

文章そのまま使ったんですがよかったですか?

ありがとうございました。
by みさと (2012-08-04 23:35) 

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